■創立30周年記念事業の趣旨■  

   ≪会長 清水 一彦≫

 

 2020(令和2)年度、2021(令和3)年度は、人類史上大きな試練を迎えた。新型コロナウイルス感染が例外なく世界のすべての国々に蔓延し、かつてない多くの犠牲者を出してきている。今なお、そうした状況は続いている。一日も早い終息を願うばかりである。
 このような国際社会を含めて社会全体の混乱・混迷の時代にあって、わが国の教育界においても大きな変革期を迎えていると言ってよい。遠隔授業を中心としたオンライン教育やSTEAM人材の拡充策などが展開され、例えば高等教育の世界においても、国内の他大学の優れた講義を受けられるように単位互換制度の活用とともに、地域連携プラットフォームや産学官連携による数理・データサイエンス教育などの教育プログラム等を活用すべきとの声が高まってきている。Society5.0やAIの時代を迎え、これからの教育における人材育成を考えた場合、従来の制度や実践にとらわれない新たな概念や制度構築が求められているのである。
 改革のベクトルは、確実に変化している。つまり、教育中心から学習中心へ、教師中心から学習者中心への移行である。それはまた、教師が教え続けることではなく「学習者が学び続けること」が重視され、どこの学校を出たかではなく、どのような内容を学習し評価されたかへの移行でもあると言える。まさしく、教育観の変容であり、パラダイムシフト(転換)である。一言で言えば、まさしく「学習者本位の教育」の到来である。
 さて、本学会が創設されたのは1993(平成5)年11月27日である、2年後にはもう30年を迎える。設立の趣意書を紐解けば、「『21世紀への教育改革』の時代に見合った「教育制度」を固有の研究対象とし、教育改革の現実にインパクトを与え、学会運営に新機軸を打ち出す決意が述べられている。また、設立の意義として、「教育制度の人間生活と人類の運命における重要な意義を確認し、これまでの研究を踏まえて、その研究を体系的・総合的に発展させる」ことが強調されていた。この設立の精神や意義は今なお生きており、本学会の基本方針としてウィズコロナあるいはアフターコロナの時代にあっては、ますます重要視されると考える。
 この30年に至る間、とくに故桑原敏明前会長の下で会員の叡智を集め、教育改革の現実にインパクトを与える役割を果たした『現代教育制度改革への提言』(上下巻、平成25年、東信堂)を出版したり、学会大会の公開シンポジウムや課題研究では時代や社会が求める時の教育制度課題を取り上げ、教育制度を固有の研究対象とする気運を盛り上げたりしてきた。しかし、まだまだ設立のねらいや役割にはほど遠い感があり、さらに近年の人間生活や人類の課題の変化に対応した取組みが強く求められている。新型コロナウイルスの問題を含めて地球市民として地球的規模の課題解決に向けた活路を見出していかなければなりません。
 私が学会会長に就任した時に掲げた運営の基本方針の一つとして、若手研究者の育成を挙げた。「継続は力なり」とよく言われるが、学会の発展に若手研究生の育成は不可欠である。これまでも、繋ぐ、繋いでいくことをモットーに、学会大会における研究成果の発表や討議の場を増やすとともに、研究紀要の編集方針にもそれを反映してきたつもりであるが、30周年を機にそれをさらに加速化して行きたいと考えている。現在の元兼正浩編集委員長の下で、研究紀要の「自由研究論文」及び新たに付け加わった「研究ノート」(教育制度にかかわる史資料の紹介に重点をおきつつ考察を加えたもの、または萌芽的もしくは提言的な研究を記したもの)の掲載種別において若手研究者の投稿や掲載が徐々に増えつつあるが、記念事業においてシニア会員はもちろんのこと、大学院生を含む若手研究者の積極的な参画を促したい。
 学会創設趣意書にも掲げられていた「研究的裏付けをも教育制度改革に貢献し、教育制度改革の研究的フォローを行う」ということを推進し、「教育制度学会は、科学的ですべての者の生活に役立つ教育改革案を提言できなければならない」という故桑原前会長の想いをしっかりと引き継ぎ、さまざまな問題や課題に対する教育改革案を提言し、学会内外に広く発信していければと考えている。
 本学会では、すでに理事会の中に「創立30周年記念誌編集委員会」を立ち上げ、木岡一明理事を委員長として具体的な編集作業に着手している。その編集方針は、「本学会が進めてきた教育制度研究を総括するとともに、広く学会員から教育制度研究のさらなる発展に資するような論文を募り、これらを一冊の記念誌にまとめ刊行する」ことにある。編集委員会規程が策定され、編集体制も整備されている。「投稿規程」に沿って、若手研究者のみならず多くの会員がこの企画に賛同し、自身の積み上げてきた研究成果を発表していただければ幸いである。
 かつて「学会栄えて教育滅ぶ」と我々の先輩が警鐘を鳴らしたこともあるが、こうした事態を招かないように、本学会の歴史の節目を迎えるにあたって立ち上げた30周年記念事業を会員皆様の温かいご理解とご協力の下で是非成功させたいと願っている。なにとぞよろしくお願いします。

 
■創立30周年記念誌について■  
(2022年8月10日に自由研究論文の再募集を追記) 

≪30周年記念誌編集委員会委員長 木岡 一明≫

 日本教育制度学会は、2023年に創立30周年を迎えます。これを記念して、前掲の清水会長からの「日本教育制度学会30周年記念事業―事業の趣旨―」にありますように、本学会が進めてきた教育制度研究を総括するとともに、広く学会員から教育制度学研究のさらなる発展に資するような論文を募り、これらを一冊の記念誌にまとめ刊行することで、本学会として教育制度学研究の到達点と今後の展望を示したいと思います。記念誌は電子出版で刊行する予定ですが、投稿論文については審査の上掲載の可否を決定します。またISSNを取得し、J-stageにも登録・掲載するなど、毎年刊行される紀要と同じ水準の学術誌となります。また掲載された投稿論文の中から、優れた論文を表彰する制度も整えております。30周年の記念事業に値する、学術的価値の高い記念誌となることを願って止みません。
 記念誌に掲載する論文は、編集委員会から依頼する「課題別招待論文」と、会員からの投稿による「課題別自由研究論文」によって構成されます。「課題」とは本学会の特徴である「制度原理」等9つのテーマに基づくものです。課題別に考えられる具体的な論文のテーマについても掲げておきましたので、どうぞご参照下さい。
 会員諸氏におかれましては、下記に掲載する執筆規程、執筆要領に従い、奮って投稿をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

【追記】
・自由研究論文については再募集をすることとしました。投稿期間は2022年8月12日から2022年11月10日までとします。記念誌にはすぐれた論文を多数掲載したいと考えますので、下記に掲載する執筆規程、執筆要領に従い、奮って投稿いただきますようよろしくお願い申し上げます。なおこの際、下記「日本教育制度学会30周年記念誌論文投稿規程」の「7. 申込期限及び提出期限」にある「投稿は2022年1月31日から2022年5月31日の期間で受けつける。」は「2022年8月12日から2022年11月10日の期間で受け付ける。」と読み替えることとします。
・なお5月末日までに受理した論文の課題別件数は以下の通りです。記念誌には一つの課題に対し2~3本程度の掲載を検討しています。


    ・制度原理    0件
    ・幼児教育    0件
    ・義務教育    2件
    ・後期中等教育    2件
    ・高等教育    0件
    ・生涯教育    0件
    ・教育行財政    3件
    ・教育経営    0件
    ・教員制度    1件

■日本教育制度学会30周年記念誌論文投稿規程■

1. 投稿の募集
 (1) 投稿の種類は、「課題別自由研究論文」「課題別招待論文」の2つとする。
 (2) 投稿原稿は未発表のものに限る。ただし、口頭発表したものについてはこの限りではない。二重投稿は一切認めない。
 (3) 投稿原稿は、原則として日本語で執筆すること。

2. 投稿資格
 日本教育制度学会員は投稿資格を有する。

3. 掲載種別
 (1) 掲載する論文等の種別は、次の通りとする。次に掲げるもの以外の掲載については、日本教育制度学会30周年記念誌編集委員会(以下、記念誌編集委員会)がこれを決定する。
 (2)  課題別自由研究論文:別表に掲げる研究課題のうち一つに当てはまる、教育制度にかかわる研究成果をまとめたもの。
 (3) 課題別招待論文:記念誌編集委員会からの指名に応じて、別表に掲げる研究課題のうち一つに当てはまる、教育制度にかかわる研究成果をまとめたもの。

4. 掲載の可否
  (1) 投稿原稿の掲載の可否は、記念誌編集委員会が決定し、投稿者に通知する。
  (2) 記念誌編集委員会は、投稿原稿の修正を求める場合がある。
  (3) 記念誌編集委員会は、投稿原稿について、種別又は課題別の変更を投稿者に促す場合がある。

5. 投稿様式
 (1) 投稿原稿の字数制限は、「課題別自由研究論文」「課題別招待論文」とも18,000字とする。
 (2) 字数制限には、タイトル、脚注、図表等を含める。
 (3) 投稿原稿に先立ち、「投稿申込書」を届け出る。「投稿申込書」は、学会のホームページからダウンロードすること。
 (4) 掲載が決定した「課題別自由研究論文」「課題別招待論文」には、英文タイトル及び400words以内の「英文摘要」を添付すること。

6. 執筆要領
 学会のホームページに掲載する「『日本教育制度学会創立30周年記念誌』執筆要領」に従い、執筆すること。

7. 申込期限及び提出期限
 投稿は2022年1月31日から2022年5月31日の期間で受けつける。なお投稿に先立ち、原則として3週間前までに5の(3)にある「投稿申込書」を記念誌編集委員会事務局に届け出ること。

8.著作権について
 掲載された論文の著作権については、「日本教育制度学会著作権規程」(2016年1月6日)を準用する。その際、「日本教育制度学会紀要」および「紀要」を「日本教育制度学会30周年記念誌」と読み替えるものとする。

9.表彰について
 記念誌編集委員会は、掲載された自由研究論文から、優れた著作を選出し、表彰する。

10. 申込方法及び提出方法
 (1) 原則として、Eメールの添付ファイルにて、提出すること。  
  <提出先メールアドレス:seido30kinen@gmail.com>
 (2) 添付ファイルの容量が2,000KBを超える場合には、事前に記念誌編集委員会へ連絡すること。
 (3) 提出後、2日以内に受領確認メールが届かない場合には、記念誌編集委員会へ連絡すること。
  <連絡先>  〒305-8577つくば市天王台1-1-1 筑波大学アドミッションセンター
       大谷研究室気付 日本教育制度学会30周年記念誌編集委員会事務局


【別表】

付則:本規程は2021年11月20日から施行する。

 
■『日本教育制度学会30周年記念誌』執筆要領■

​PDF版はこちら

1.原稿様式
(1)ワープロソフトは「Microsoft Word」または「一太郎」を用いる。
(2)A4 判、縦置き、横書き、37 字×37 行とする。
(3)最初の行にタイトルを記す。
(4)本文の句読点は、原則として「、」「。」を用いる。
(5)数字・欧文等は半角を基本とする。

2.見出し
見出しは次の例に従う。
<例> 1 →(1)→①

3.図表
(1)図表番号およびタイトルを付す。タイトル位置は、図の下、表の上とする。
(2)原則として、図表は執筆者が作成し、データを添付する。
(3)出典は必ず明記し、最初の行の冒頭に「出典:」と記す。
(4)字数換算は図表の大きさにより、A5 判本誌刷り上がり全 1 頁=1,360 字、半頁=680 字、1/3 頁=450 字、1/4 頁=340 字とし、換算文字数を図表の下部に記す。

4.註
(1)本文中に「……」1 のように、右肩に 4 分の 1 の大きさの通し番号を振る。ワープロソフトの脚注機能を用いる場合も同様とする。
(2)註は原稿の末尾に一括して付け、見出しは【註】とする。

5.文献一覧および文献指示表記
(1)文献一覧は原稿の末尾に一括し、邦文文献を五十音順、欧文文献を ABC 順に列記する。
(2)見出しは【文献一覧】とし、註の後に置く。
(3)引用等の文献指示表記は、下例のような方式で文中に記す。
<例>    ……「…引用…」(藤田 2014, p.12)がある。
   ……が指摘されている(藤田/藤井 2000, pp.101-102)。
   ……の研究などがある(Fujita 2014; Fujii 2013a)。

6.文献表記
文献表記の方法は、下記に倣う。
<邦文文献>
・書籍:著者名(出版年)『書名』出版社名
・翻訳書:著者名(出版年)『書名』(訳者氏名)出版社名
・書籍所収の論文:著者名(出版年)「論文タイトル」編者名『書名』出版社名、pp.○-○
・雑誌論文:著者名(出版年)「論文タイトル」『雑誌名』巻号、pp.○-○
・複数の著者や編者を併記する場合は /(全角スラッシュ)を使用する。
<欧文文献>
・書籍:著者名(出版年)書名[イタリック],  出版社名
・書籍所収の論文:著者名(出版年)“論文タイトル”, 編者名, 書名[イタリック], 出版社名, pp.○-○
・雑誌論文:著者名(出版年) “論文タイトル”, 雑誌名[イタリック], 巻号, pp.○-○
・複数の著者や編者を併記する場合は /(半角スラッシュ)を使用する。
・著者名はfamily name, first name の順とし、間にカンマを入れる。
・カンマ等の記号の後は半角空ける。

7.その他
(1)半角文字(数字・欧文等)については、2 文字を 1 文字分としてカウントする。
(2)「Microsoft Word」の文字数計算を用いる際には、欧文 1 ワードが 1 文字として自動的にカウントされることに留意し、投稿の際には「日本教育制度学会30周年記念誌論文投稿規程」に定められる文字数制限(18,000 字)を超過しないよう十分推敲する。

 

 
 
■課題別に考えられる具体的な論文のテーマ■

木岡委員長からの「課題別自由研究論文」投稿論文募集のお知らせにもありますように、「自由研究論文」は課題別に募集をいたします。下記に、課題別に考えられる具体的なテーマを掲げておきますので、参考にして下さい。

制度原理
・教育制度研究の方法論
・教育制度研究の学説史、比較分析
・隣接諸分野(政治学、行政学、経営学、法学、社会学、経済学など)との関係に着目した研究
・教育制度の編成原理に関する研究
・教育制度と政治的・社会的諸原理との関係に着目した研究
・他の具体的分野に分類しにくい新奇性のあるテーマ

幼児教育
・幼児の教育を受ける権利
・保幼小の接続
・認定こども園の諸問題
・保育者養成制度
・幼稚園,保育施設の危機管理
・「無認可」保育施設問題

義務教育
・義務教育制度の歴史研究
・諸外国の義務教育制度
・義務教育の年齢主義をめぐる課題
・義務教育の無償性をめぐる課題
・学校外教育制度(不登校、フリースクールなど)の課題
・コロナ禍の義務教育保障

後期中等教育
・高校教育改革の課題と展望(政策分析、改革動向、地方創生)
・高校教育の質保証(キャリア教育、進路指導、新学習指導要領、人材育成)
・高大接続の現状と課題(大学入試制度、高校における探究的学び)
・青年期教育の課題と後期中等教育制度(諸外国の後期中等教育制度、高校再編、公私立高等学校協議会、定時制、通信制)

高等教育
・大学評価(認証評価、法人評価、自己点検・評価)
・学士課程改革
・高等教育の機能分化
・高等教育の無償化
・大学院改革

生涯教育
・生涯学習に関する理論的研究
・生涯学習政策・施策の動向(国内外の事例など)
・生涯学習概念の変容(リカレント教育・市民協働など)
・専門教育・人材育成・力量形成(専門職員・ボランティア等)
・近接領域との関連(学校教育等の領域との連携・施設間連携など)

教育行財政
・地方教育行政機構や教育委員会制度の理念、意義、組織、役割、運用実態、改革などに関する研究
・教育の条件整備(教育を受ける権利の保障/機会均等の確保)、及び、それに関わる教育法制度と教育行政機構
・学校と地域の連携(と教育委員会)
・教育行政機構の在り方や役割に関する研究
・教育財政制度の特質、意義、課題、改革に関する研究

教育経営
・教育の組織運営・マネジメントに関する制度
・教育組織の評価制度(学校評価)
・教育課程(カリキュラム)経営の制度
・地域と学校(学校運営協議会)の制度

教員制度
・教員養成制度の運用や改革等に関する国内外の動向に関する研究
・教員人事制度の運用や改革等に関する国内外の動向に関する研究
・教員研修制度の運用や改革等に関する国内外の動向に関する研究
・教員の専門性にかかわる制度に関する国内外の動向に関する研究
・教員であることを支える制度に関する国内外の動向に関する研究

 

 

​以下のアドレス宛に添付ファイルでお送りください。

seido30kinen@gmail.com